国内のサーバー市場において、多くのシェアを握っているのは6社である。
「富士通」がトップで22%のシェアを握り、他はだいたい、1社あたり8%から15%ぐらいの市場占有率で、拮抗している。
その主要6社は「富士通」「NEC」「DELL」「HP」「日立」「IBM」の6社だ。
他に5%ぐらいのシェアで「レノボ」が存在している。
残りの30%強あまりの市場を他のサーバーメーカーで取り合っている状況である。
それぞれのシェアは多少の変動はあるが、大きく変わっている状況ではない。
富士通のサーバーPCの製品名は「PRIMERGY」という商標で、タワー型・ラックマウント型・ブレード型など各種サーバー製品を取りそろえている。
タワー型なら、TX1310, TX1320, TX1330
ラックマウント型なら、RX1330, RX2520, RX2530, RX2540, RX4770
ブレード型は「マルチノードサーバ」と呼び、CX400, CX2550, CX2560
という製品がある。
各製品には「TX1330 M5」というように末尾に「M5」又は「M6」という番号が付いているが、これはバージョンNOのようなもので、数値が大きければ新しいバージョンとなる。
現在はM5からM6への移行期のようだ。
Amazonや楽天では中古品や新古品などで「M3」が販売されているが、これは古いバージョンである。
富士通は販売から5年間がサポート期間で、これを過ぎると故障しても交換部品などが入手できなくなるので、古い製品の購入は避けた方が良いと思う。
価格の安い製品が必要なら、他社製品の安価なサーバーを購入すべきだろう。
NEC
NECのサーバーPCの製品名は「Express5800」という商標で、タワー型・ラックマウント型サーバー製品を取りそろえている。
ブレード型は無いようだ。
タワー型なら、T110k-S, T110k-S(水冷), T110k, T120h(2way)
ラックマウント型なら、1wayでR110k-1, R110j-1M、
2wayでR120h-1E, R120h-1M, R120i-1M, R120h-2E, R120h-2M, R120i-2M
4wayでR140h-4
という製品がある。
他にデータセンター向けに「無停止型 ftサーバ」という高可用性製品も提供している。
DELL
DELLのサーバーPCの製品名は「PowerEdge」という商標で、こちらもタワー型・ラックマウント型・ブレード型など各種サーバー製品を取りそろえている。
タワー型なら、1ソケットでT150, T350, T40, T140, T340, 2ソケットでT550, T440, T640
ラックマウント型なら、R250, R350
ブレード型は「モジュラー型インフラストラクチャ プラットフォーム」と呼び、Dell EMC PowerEdge MX, Dell EMC PowerEdge FX, Dell EMC PowerEdge VRTX, Dell EMC PowerEdge C
という製品がある。
工場、建設現場、移動車両、およびその他の過酷な環境に対応できる高耐久性サーバーなども提供している。
HP
HPのサーバーPCの製品名は「ProLiant」という商標で、こちらもタワー型・ラックマウント型・ブレード型など各種サーバー製品を取りそろえている。
タワー型なら、ML30, ML110, ML350
ラックマウント型なら、DL20, DL20, DL110, DL160
ブレード型は「高密度サーバー」と呼び、HPE Apollo, HPE Moonshot
という製品がある。
他にエッジコンピューティングに対応した、HPE Edgeline という製品群もある。
日立
日立のサーバーPCの製品名は「HA8000V」という商標で、こちらもタワー型・ラックマウント型・ブレード型・ハイエンドサーバーなど各種サーバー製品を取りそろえている。
それだけではなく日立はメインフレームも取りそろえる。
タワー型なら、ML350, ML30
ラックマウント型なら、DL580, DL380, DL360, DL20
ブレード型なら、BS2500, BS500
ハイエンドサーバーは、E1080, E980 という製品がある。
高信頼性サーバーとして、RV3000 A1, RV3000 A2 なども揃える。
ハイエンドサーバーは、プロセッサが16コアから最大160コアとか192コアという、特殊レベルで一般的なサーバー製品とは次元が異なる製品となる。
日立の製品は、他のサーバーメーカーとはマーケットが異なり、鉄道や電力など社会インフラを支えるような用途で使用される。
IBM
IBMのサーバーPCの製品名は「IBM Power」「IBM LinuxOne」という商標で、こちらもタワー型・ラックマウント型・ブレード型・ハイエンドサーバーなど各種サーバー製品を取りそろえている。
メインフレームも取りそろえる。
タワー型なら、LinuxONE Ⅲ モデルLT1 と LT2
ラックマウント型なら、Power S1022, Power S1024
ブレード型なら、Power E1050, Power E1080
という製品がある。他にも製品の種類は豊富に取りそろえている。
IBMは日本国内ではシェア6%強で、あまりシェアが取れていないらしいが世界的なサーバー機器提供業者である。
UNIXサーバー市場ではシェアナンバーワンということだ。
IBMは昔AIXなど独自規格製品で競争していた点もあり、現在一般的な Window Server や Linux サーバーでは出遅れた感がある。
IBMも日立とは違う意味で、他のサーバーメーカーとはマーケットが異なるサーバーメーカーと言える。
IBM はサーバーOSとしてAIXやLinuxなどUNIX系を提供する点も、他のサーバーメーカーとは属性が違う点である。
その他
国内で他にサーバー製品を提供しているのは以下のメーカーになる。
サーバー機器メーカーとしては新興だ。
Lenovo
LenovoのサーバーPCの製品名は「ThinkSystem」という商標で、タワー型・ラックマウント型サーバー製品を取りそろえている。
ブレード型は無いようだ。
タワー型なら、ST250, ST50, ST550, ST250 V2, ST50 V2
ラックマウント型なら、SR250, SR250 V2, SR530, SR550, SR630, SR590, SR650, SR570, SR645, SR665 など多数の製品がある。
他にデータセンター向けに「ミッションクリティカルサーバー」製品がいくつか提供されている。
マウスコンピュータ
1wayのタワー型サーバー機を提供している。ラックマウント型やブレード型は提供していない。
主に小規模事務所向けのサーバーPCである。
RAID-1 構成のみ提供される。
RAID-1 は二つのHDDをミラーリングで互いにバックアップする構成だ。
ホットスワップ対応なので、片方のHDDが故障したら、システムを稼働したまま故障したHDDを交換できる。
ストレージ容量は1 TB。拡張ストレージベイにて拡張可能。
メモリは8 GBから16 GBまで、カスタマイズ可能。
Windows Server 版と、OSなし版がある。
EPSON
1wayのタワー型サーバー機を提供している。ラックマウント型やブレード型は提供していない。
主に小規模事務所向けのサーバーPCである。
RAID-1 構成のみ提供される。
RAID-1 は二つのHDDをミラーリングで互いにバックアップする構成だ。
メモリは8 GBから32 GBまで、
ストレージ容量は2 TBから8 TBまで、カスタマイズ可能。
Windows Server 版と、OSなし版がある。
IO DATA
IO-DATAは主にメモリやストレージやNASなどPC部品や周辺機器を提供するメーカーだが、サーバー機も提供している。
主に小規模事務所向けのサーバーPCである。
ストレージがHDDではなくSSD2機を使用しているため高速処理が期待できる反面、ストレージ容量は少なく960 GB程度である。
RAID1,RAID0の構成のどちらかを選べる。
メモリは8 GBのみ。
どちらかと言えば、IoTや医療機器のサーバーといった特殊用途向きに開発されたサーバー機で、一般企業の事務処理などに使用するサーバーではない。
おさらい
国内でサーバーを販売しているシェアの大きい主要メーカーは、
「富士通」「NEC」「DELL」「HP」「日立」「IBM」の6社。
他に、サーバー機シェアの小さい新興メーカーとして、
「Lenovo」「EPSON」「マウスコンピュータ」「IO DATA」などがある。
タワー型サーバーは上記全てのメーカーで提供している。
ラックマウント型は主要6社と「Lenovo」では提供している。
ブレード型は「富士通」「DELL」「HP」「日立」「IBM」で提供している。
「日立」「IBM」は一般的な Windows Server 製品とは属性の異なる市場でサーバー製品を提供しているため、一般の企業で利用する種類の製品は主力製品にはなっていないようだ。
よって、通常の企業の業務システム用サーバーを販売しているのは、主要6社では「富士通」「NEC」「DELL」「HP」となる。Linuxサーバーなら「IBM」も含まれる。
新興メーカーでは全てが、 Windows Server 対応製品を提供している。
以上、国内の主なサーバー機メーカーを紹介した。
次は、バックアップ機器や無停電電源装置などのメーカーも紹介したいと思う。
そのときはここに追記する。