米国のTCJAセクション174改正とソフトウェア企業

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 この記事は、全て Gemini Deep Research が調査して作成したものを、そのまま全文掲載したものです。

米国税制改正「セクション174」の徹底分析:ソフトウェア産業の財務・雇用への影響と将来展望

  1. セクション1. エグゼクティブ・サマリー
  2. セクション2. TCJA以前のセクション174:イノベーションを促進した即時費用計上の時代
    1. 1954年の制定背景と目的
    2. 即時費用計上の選択肢とその重要性
    3. ソフトウェア開発費の扱い
  3. セクション3. 2022年のパラダイムシフト:TCJAによる研究開発費の強制償却
    1. 改正の概要と背景
    2. 強制的な資産計上と償却(Capitalization and Amortization)
    3. 「研究開発費」の定義の明確化と拡大
    4. プロジェクト中止時の特異なルール
  4. セクション4. 混迷から修正へ:2021年以降の法改正の動向と現状
    1. 議会における修正の動き
    2. 「One Big Beautiful Bill Act (OBBBA)」による部分的修正
    3. 2022年~2024年の移行措置
    4. 中小企業向けの遡及的救済措置
    5. 表1:IRCセクション174の規定内容の変遷比較
  5. セクション5. ソフトウェア産業への多角的影響分析
    1. 財務・キャッシュフローへのインパクト
      1. 課税所得の増加と「幻の利益」
      2. キャッシュフローの圧迫
    2. 事業運営とコンプライアンスへのインパクト
      1. 管理負担の増大
      2. R&D費の定義を巡る不確実性
      3. R&D税額控除(セクション41)との関係
  6. セクション6. 特別報告:セクション174改正がソフトウェアエンジニアの雇用に与えた影響
    1. 国内エンジニア雇用の経済的構造変化
      1. 人件費の税務コスト化
      2. 採用抑制のメカニズム
    2. 具体的事例とデータに基づく影響の可視化
      1. 大手テック企業の大量解雇との関連
      2. 中小・スタートアップ企業の苦境
    3. 新たなグローバル採用戦略:国内人材 vs. 海外人材
      1. TCJA下の複雑なトレードオフ(2022-2024年)
      2. 最新の法改正がもたらす国内回帰インセンティブ
  7. セクション7. 総括と将来展望
    1. セクション174改正が残した教訓
    2. ソフトウェア企業が取るべき短期・中長期的な戦略
      1. 短期的な戦略(〜2025年)
      2. 中長期的な戦略(2025年〜)
    3. 今後の税制改正に関する動向予測
      1. 引用文献

セクション1. エグゼクティブ・サマリー

2017年に制定された「減税・雇用法(Tax Cuts and Jobs Act、以下TCJA)」は、米国内国歳入法典(IRC)の「セクション174」に抜本的な改正をもたらしました。この改正は、米国のイノベーション政策における数十年ぶりのパラダイムシフトであり、特にソフトウェア産業に深刻かつ広範な影響を及ぼしました。本報告書は、このセクション174改正の経緯、その具体的な影響、そして最新の法改正による現状を包括的に分析し、ソフトウェア企業が直面する課題と戦略的選択肢を提示するものです。

本報告書の要点は以下の通りです。

  • 研究開発(R&D)費の強制償却: TCJAは、1954年以来、米国企業のイノベーションを支えてきたR&D費の即時費用計上を廃止し、2022年1月1日以降、米国内で発生した費用は5年間、米国外の費用は15年間にわたる強制的な償却を義務付けました。この変更は、主にTCJAにおける他の大型減税の財源を確保する目的で導入されたものです。
  • ソフトウェア産業への財務的打撃: この改正は、R&D費、特にエンジニアの人件費への依存度が高いソフトウェア企業に深刻な財務的打撃を与えました。費用控除が長期間にわたって繰り延べられるため、企業の課税所得が実態以上に膨れ上がり、キャッシュフローが著しく悪化しました。特に、まだ利益の出ていない成長段階のスタートアップにとっては、実際には赤字であるにもかかわらず税法上の利益(「幻の利益」)が発生し、存亡に関わる納税義務が生じるという危機的状況を招きました。
  • 雇用への深刻な影響: 最も深刻な影響は雇用に現れました。エンジニアの人件費が短期的な税務コストを急増させたため、企業は採用を抑制し、既存の従業員を解雇する強いインセンティブに駆られました。2023年初頭に相次いだ大手テック企業の大量解雇は、この税制改正が初めて財務諸表に現実的な影響として現れた時期と一致しており、本改正がレイオフの隠れた加速要因となった可能性が指摘されています。
  • 部分的修正と残された課題: 産業界からの強い反発を受け、議会は最新の法改正(通称「One Big Beautiful Bill Act」)により、2025年以降に発生する米国内のR&D費について、即時費用計上を復活させました。しかし、この修正は米国内の活動に限定されており、米国外のR&D費は依然として15年間の償却が義務付けられています。また、2022年から2024年にかけて生じた財務的ダメージは残り、企業は過去に資産計上した費用の処理という新たな戦略的判断を迫られています。

本報告書は、この一連の法改正の経緯を詳細に分析し、ソフトウェア企業が取るべき短期および中長期的な戦略的対応と、今後の税制を巡る展望について、専門的な見地から解説します。

セクション2. TCJA以前のセクション174:イノベーションを促進した即時費用計上の時代

2017年のTCJAによる抜本的な変更のインパクトを正確に理解するためには、まず、それ以前のセクション174が米国のイノベーション・エコシステムにおいて果たしてきた極めて重要な役割を把握する必要があります。改正前の制度は、単なる税務上の規定ではなく、現代のテクノロジー経済の発展を支える foundational policy(基礎的政策)として機能していました。

1954年の制定背景と目的

セクション174が1954年に初めて制定された背景には、研究開発活動に伴う会計処理の不確実性を取り除くという明確な意図がありました 1。当時、R&D費は、その有用期間が不確定であるため、資産として計上され、研究プロジェクトの成功または失敗が確定するまで費用として控除できないのが一般的でした 1。このような会計慣行は、結果が出るまでに長期間を要する投機的な開発活動への投資を躊躇させる大きな要因となっていました。

議会は、この不確実性がイノベーションを阻害していると認識し、企業がより積極的に研究開発に従事することを奨励するため、セクション174を制定しました。その核心は、企業にR&D費の会計処理に関する明確で有利な選択肢を与えることでした。

即時費用計上の選択肢とその重要性

TCJAによる改正以前、セクション174は企業に対し、R&D費に関して非常に柔軟な会計処理を認めていました。企業は、R&D費が発生した事業年度にその全額を費用として即時控除するか、あるいは最低60ヶ月(5年)以上の期間にわたって償却するかを選択することができました 3。

この「即時費用計上(immediate expensing)」の選択肢は、企業経営、特にテクノロジー企業にとって絶大な価値を持っていました。R&D投資額をそのまま課税所得から控除できるため、納税額が直接的に減少し、手元に残るキャッシュフローが大幅に改善されます 6。この改善されたキャッシュフローは、さらなる研究開発、人材採用、設備投資など、事業成長のための再投資の原資となります。特に、外部からの資金調達に依存し、常に資金繰りが厳しい新興テクノロジー企業やスタートアップにとって、この制度はまさに生命線とも言える存在でした。

この税制上の優遇措置は、R&D投資に伴うリスクを軽減する効果も持っていました。企業や投資家は、投資の一部が税金の節約という形で早期に回収できることを前提に、より大胆な投資判断を下すことができました。このように、改正前のセクション174は、リスクを取って革新的な技術や製品を生み出すという、米国のベンチャーキャピタルとテクノロジー産業のエコシステムが繁栄するための安定した土台を提供していたのです。

ソフトウェア開発費の扱い

特筆すべきは、ソフトウェア産業がこの制度の恩恵を最大限に享受してきた点です。TCJA以前、セクション174の条文自体には「ソフトウェア開発費」に関する明確な記述はありませんでした。しかし、米国内国歳入庁(IRS)が発行した通達「Revenue Procedure 2000-50」により、ソフトウェア開発費はセクション174で規定されるR&D費と「多くの点で酷似している(closely resemble)」とされ、同様の会計処理、すなわち即時費用計上が認められていました 8。

これにより、ソフトウェア企業の最大のR&D費であるエンジニアの人件費を発生年度に全額費用計上することが可能となり、事実上、政府がテクノロジー人材の雇用を税制面で補助する形となっていました。この安定した税務環境が、過去数十年にわたる米国ソフトウェア産業の驚異的な成長と国際競争力を支える重要な一因であったことは間違いありません。

セクション3. 2022年のパラダイムシフト:TCJAによる研究開発費の強制償却

2017年に成立したTCJAは、米国の税制に広範な変更をもたらしましたが、その中でもセクション174の改正は、産業界、特にテクノロジー分野に最も大きな構造変化を強いるものでした。2022年1月1日より施行されたこの新ルールは、長年にわたりイノベーションのインセンティブとして機能してきた即時費用計上の時代に終止符を打ち、すべてのR&D費を強制的に資産計上し、長期間にわたって償却することを義務付けました。

改正の概要と背景

TCJAによるセクション174改正の核心は、即時費用計上の選択肢を完全に撤廃した点にあります 4。この変更は、2022年1月1日以降に開始する事業年度から有効とされました 6。

この抜本的な変更が加えられた主な目的は、政策的な意図よりも財政的な理由が色濃いものでした。TCJAには、法人税率の大幅な引き下げ(35%から21%へ)など、大規模な減税策が含まれており、その財源を確保する必要がありました。R&D費の控除を即時から繰り延べに変更することは、短期的(向こう10年間)に連邦政府の税収を増加させる効果があり、そのための「穴埋め」として利用されたのです。ある分析によれば、この変更だけで2022年度から2027年度の間に約1,197億ドルの歳入増が見込まれていました 4。この規定は、議会での法案審議の最終段階で、いわば「土壇場で」追加されたものであり、イノベーションへの影響について十分な議論が尽くされたとは言い難い状況でした 4。

強制的な資産計上と償却(Capitalization and Amortization)

2022年からの新ルールは、企業に対し、R&D費を発生時に費用として処理することを禁じ、まず貸借対照表上の資産として計上(Capitalization)し、その後、定められた期間にわたって規則的に費用化(Amortization)することを強制しました。具体的な償却期間は、研究開発活動が行われた場所によって異なり、明確な国内誘致の意図が見られます。

  • 米国内のR&D費(Domestic Research): 5年間の償却が義務付けられました 10。
  • 米国外のR&D費(Foreign Research): 15年間の償却が義務付けられました 10。これは、R&D活動を海外に移転することに対する懲罰的な措置と広く解釈されています。

さらに、償却の開始時期にも企業にとって不利なルールが設けられました。償却は、費用が発生した事業年度の「期央(midpoint of the taxable year)」から開始されると定められています 11。これは、実質的に初年度に控除できる金額が、年間の償却額のさらに半分になることを意味します。例えば、5年償却の場合、初年度の控除率は10%((1/5) * 0.5)となり、残りの90%は翌年度以降に繰り延べられます 13。

この変更は、単なる会計処理のタイミングの問題にとどまりませんでした。それは、ソフトウェア開発の中核をなす人材、すなわちエンジニアの給与という現金の支出を、税務上は5年間にわたる長期的な資産投資として再分類するものでした。給与は「今」支払われるにもかかわらず、それに対応する税務上の恩恵(費用控除)の大半が将来に繰り延べられるという、現金の現実と税務会計の間に巨大な乖離を生み出しました。これにより、ソフトウェア企業にとって最も重要な価値創造活動であるエンジニアの採用が、短期的には税務上、キャッシュをマイナスにする行為へと変貌したのです。

「研究開発費」の定義の明確化と拡大

TCJAは、この強制償却の対象となる費用の範囲についても重要な変更を加えました。特にソフトウェア開発費の扱いが、法律の条文で明確に規定されたことは大きな変化です。

セクション174(c)(3)の新設により、「ソフトウェアの開発に関連して支払われ、または発生したすべての金額」は、セクション174が規定する研究開発費として扱われることが明記されました 1。これにより、従来はIRSの通達ベースで運用されていたソフトウェア開発費の扱いが、法律上、疑いの余地なく強制償却の対象となったのです。

対象となる「特定研究開発費(Specified Research or Experimental (SRE) expenditures)」には、直接的な費用だけでなく、間接的な費用も幅広く含まれます。具体的には、研究者の人件費(福利厚生費を含む)、研究に使用する材料や消耗品費、研究施設に関連するオーバーヘッド費用(家賃、光熱費、保険料、固定資産税など)、外部への委託研究費などが該当します 15。

プロジェクト中止時の特異なルール

新ルールの中でも特に企業にとって過酷なのが、開発プロジェクトが失敗した場合の扱いです。セクション174(d)では、開発中の製品や資産が途中で廃棄、中止、または放棄された場合でも、それまでに資産計上されたR&D費の償却は、当初のスケジュール通り(5年または15年)継続しなければならないと定められています 1。未償却残高を一括で損失として計上することは認められません。

これは、イノベーションの本質に対する根本的な誤解に基づいたルールと言えます。現代のソフトウェア開発、特にアジャイル開発やリーンスタートアップの手法では、「早く失敗すること(fail fast)」が成功への鍵とされています。多くの実験的プロジェクトが失敗に終わることを前提に、リスクを取りながら最適な解決策を探求するのが常道です。旧ルールでは、失敗したプロジェクトのコストは即時に費用計上できたため、実験のリスクが財務的に緩和されていました。しかし新ルールは、もはや存在せず、一切の収益を生み出さない「幽霊プロジェクト」のコストを、その後何年にもわたって償却し続けることを企業に強います。これは、発見のプロセスそのものにペナルティを課すものであり、企業が野心的な挑戦を避け、安全で漸進的な改善に終始するインセンティブを生み出し、長期的に破壊的なイノベーションを阻害する危険性をはらんでいます。

セクション4. 混迷から修正へ:2021年以降の法改正の動向と現状

2022年にセクション174の強制償却ルールが施行されると、その深刻な悪影響が瞬く間に顕在化しました。特にソフトウェアやライフサイエンスといった研究開発集約型産業からの悲鳴は大きく、議会に対してルールを撤回または修正するよう求める強力なロビー活動が展開されました。この動きは、政治的な対立を超えた超党派の支持を集め、数年間の混迷を経て、最終的に部分的ながらも重要な法改正へと結びつきました。

議会における修正の動き

強制償却ルールの施行直後から、多くの企業、特にスタートアップが予期せぬ巨額の納税に直面し、運転資金が枯渇する事態が続出しました。これが米国の国際競争力と国内雇用に与えるダメージを懸念した議会では、与野党双方から改正を支持する声が上がりました 4。

下院では「Tax Relief for American Families and Workers Act of 2024 (H.R. 7024)」が、上院では「American Innovation and Jobs Act (S. 866)」といった法案が提出され、いずれもR&D費の即時費用計上を復活させることを主眼としていました 4。これらの法案は超党派の幅広い支持を得ていたものの、児童税額控除の拡充など、他の税制項目との政治的な駆け引きの対象となり、成立には時間を要しました 4。

「One Big Beautiful Bill Act (OBBBA)」による部分的修正

最終的に、これらの修正努力は、通称「One Big Beautiful Bill Act (OBBBA)」と呼ばれる包括的な法案の一部として結実しました。この法律は、新たにセクション174Aを創設し、セクション174の厳しいルールを部分的に覆す重要な変更を加えました。

その核心は、2025年1月1日以降に開始する事業年度から、米国内で発生したR&D費(domestic R&E expenditures)について、即時費用計上を恒久的に復活させるというものです 19。これにより、2022年以前の有利な税務処理が、米国内の活動に限ってではありますが、再び可能となりました。

しかし、この修正は完全な原状復帰ではありません。最も重要な点は、この措置が米国内の費用に限定されていることです。米国外で発生したR&D費については、TCJAが導入した15年間の強制償却ルールがそのまま維持されます 20。この結果、R&D活動の場所によって税務上の扱いが天と地ほど異なるという、新たな構造が生まれました。

この「修正」がもたらした長期的な帰結は、米国の税法典に「税務上のナショナリズム」とも言うべき考え方を恒久的に埋め込んだことです。TCJA以前、R&Dの拠点をどこに置くかは、主に人材の質やコストといった事業上の判断でした。TCJAは5年対15年という償却期間の差を設けましたが、それは「悪い扱い」の程度の差でした。しかしOBBBAは、「即時かつ完全な税務メリット(国内)」対「極めて懲罰的で15年間にわたる遅延メリット(国外)」という、白か黒かの二元的な構造を創り出しました。これは、R&D拠点の決定を、純粋な事業戦略から、税務戦略が極めて重要な要素を占める意思決定へと変質させるものであり、多国籍テクノロジー企業のグローバルな人材戦略、M&A戦略、そして組織構造そのものに永続的な影響を与える強力な国内回帰インセンティブとなります。

2022年~2024年の移行措置

OBBBAは、強制償却が適用されていた2022年、2023年、2024年の3年間について、企業が既に資産計上した米国内R&D費の未償却残高を処理するための移行措置も設けました。企業には以下の3つの選択肢が与えられています 19。

  1. 一括控除: 2025年度の納税申告で、未償却残高の全額を一括で費用として控除する。
  2. 2年分割控除: 未償却残高を2025年度と2026年度の2年間にわたって均等に分けて控除する。
  3. 償却継続: 従来通り、当初の5年間の償却スケジュールを継続する。

この選択肢は、単なるコンプライアンス上の手続きではなく、各企業の将来の収益予測に基づいた高度な戦略的判断を要求します。例えば、2025年に大きな利益が見込まれる企業は、一括控除を選択して課税所得を圧縮するのが合理的かもしれません。一方で、損失が見込まれる企業にとっては、控除を急ぐメリットは少なく、将来の利益と相殺するために償却を継続する方が有利な場合もあります。

中小企業向けの遡及的救済措置

OBBBAは、特にキャッシュフローに深刻な打撃を受けた中小企業を救済するための特別な措置も盛り込みました。過去3年間の平均年間総収入が一定基準額(例えば3,100万ドル)未満の適格な中小企業は、2022年度まで遡って即時費用計上を適用することが認められました 3。これにより、対象企業は過去の納税申告書を修正し、過払いの税金の還付を受けることが可能になります。これは、強制償却によって存続の危機に瀕していた多くの小規模イノベーション企業にとって、重要な救済策となります。


表1:IRCセクション174の規定内容の変遷比較

項目TCJA以前(〜2021年)TCJA改正後(2022〜2024年)最新の法改正後(2025年〜)
米国内R&D費の扱い即時費用計上、または5年以上の任意償却を選択可能5年間の強制償却即時費用計上
米国外R&D費の扱い即時費用計上、または5年以上の任意償却を選択可能15年間の強制償却15年間の強制償却(変更なし)
ソフトウェア開発費の定義IRS通達(Rev. Proc. 2000-50)に基づきR&D費と「酷似」として扱われ、即時費用計上が可能法律(IRC Sec. 174(c)(3))でR&D費と明確に定義され、強制償却の対象法律上の定義は維持されるが、国内費用は即時費用計上の対象となる
プロジェクト中止時の扱い未償却残高があれば、通常は中止年度に損失計上が可能未償却残高の償却を、当初のスケジュール通り継続する必要がある国内費用は即時費用計上されるため問題とならないが、国外費用については強制償却の継続が必要
中小企業向け救済措置該当なし該当なし2022年度まで遡及して即時費用計上を適用し、修正申告による還付が可能

セクション5. ソフトウェア産業への多角的影響分析

セクション174の強制償却ルールは、ソフトウェア企業の経営に多岐にわたる深刻な影響を及ぼしました。そのインパクトは、単に納税額が増えるという財務的な問題にとどまらず、企業のキャッシュフロー、日々の事業運営、そしてコンプライアンス体制にまで及ぶ、構造的な課題を突きつけました。

財務・キャッシュフローへのインパクト

課税所得の増加と「幻の利益」

強制償却の最も直接的な影響は、企業の課税所得が会計上の実態とかけ離れて膨れ上がることでした 6。R&D費の大半が費用として控除できなくなるため、帳簿上の利益が人為的に作り出されます。

この問題が最も深刻に現れたのが、ベンチャーキャピタルからの資金調達で優秀なエンジニアを多数雇用し、製品開発に先行投資している成長段階のスタートアップでした。これらの企業は、売上がまだ小さいか、あるいは全くないため、実際には毎月・毎四半期にわたって多額の現金を消費(キャッシュ・バーン)しています。しかし、税法上はエンジニアの給与が費用と見なされないため、実際には大赤字であるにもかかわらず、多額の利益が出ているかのように計算されてしまいました。この「幻の利益(phantom profits)」に対して、現実の納税義務が発生するという、極めて不条理な状況が生まれたのです 23。

具体的な数字で示すと、そのインパクトは明らかです。例えば、ある企業が1年間で100万ドルの国内R&D費(主にエンジニアの給与)を支出したとします。旧ルールでは、この100万ドル全額を費用として控除できたため、他の収支がゼロであれば課税所得もゼロでした。しかし、新ルール(2022-2024年)の下では、初年度に控除できるのはわずか10万ドル(100万ドル ÷ 5年 × 期央按分0.5)です。その結果、課税所得は90万ドルも増加し、これに対して法人税が課されることになります 13。

キャッシュフローの圧迫

この「幻の利益」に対する納税は、企業の生命線であるキャッシュフローを直接的に圧迫します。特に、まだ自己資金を生み出せないスタートアップにとって、投資家から調達した貴重な資金が、製品開発や市場開拓ではなく、予期せぬ納税のために流出することは致命的です 7。このキャッシュフローの悪化は、企業の成長サイクルを断ち切る深刻な影響を及ぼしました。新たな製品開発、マーケティング活動、追加の人材採用といった、将来の成長に不可欠な投資への再投資能力が著しく削がれたのです。

この影響は大企業も例外ではなく、ある分析では、セクション174の変更だけでMicrosoftの税負担が48億ドル増加したとの指摘もなされています 26。

事業運営とコンプライアンスへのインパクト

管理負担の増大

セクション174の改正は、企業の経理・財務・税務部門に新たな、そして煩雑な管理業務を強いることになりました。企業は、これまで営業費用の一部として処理していた費用の中から、セクション174の対象となるR&D費を正確に特定し、追跡する必要に迫られました 10。

具体的には、以下のプロセスが必要となりました。

  1. 費用の特定と分類: 全ての費用項目を精査し、人件費、材料費、間接費などがSRE(特定研究開発費)の定義に該当するかを判断する。
  2. 地理的配分: 各費用が米国内で発生したものか、米国外で発生したものかを正確に分類する。
  3. 資産計上と償却管理: 特定した費用を資産として計上し、それぞれ5年または15年の償却スケジュールに基づき、毎期正確に償却計算を行う。

これらの作業は、特に管理部門のリソースが限られている中小企業やスタートアップにとって、極めて大きな事務的・金銭的負担となりました。

R&D費の定義を巡る不確実性

管理負担をさらに増大させたのが、何がR&D費に該当するのかという定義を巡る曖昧さでした。特にソフトウェア開発においては、「新規開発」や「機能強化」と、償却対象外の「メンテナンス」や「バグ修正」との境界線が非常に曖昧です 8。例えば、既存のコードをリファクタリングしてパフォーマンスを向上させる作業は「機能強化」なのか、それとも「メンテナンス」なのか。この判断は主観に委ねられる部分が大きく、税務調査で指摘されるリスクを常に伴います。

どの範囲の「間接費(オーバーヘッド)」をR&D費に含めるべきかという点も、大きな論点でした。IRSは後にガイダンス(Notice 2023-63)を発表し、家賃や光熱費などの施設関連コストは含まれるが、人事や経理といった一般管理部門のコストは含まれないといった指針を示しましたが、それでもなお、具体的な費用の配分方法など、解釈には専門的な判断が必要な領域が多く残されています 2。

この定義の曖昧さと、それに伴うコンプライアンスリスクは、いわば「税務コンプライアンスの兵器化」とも言える状況を生み出しました。税務調査における立証責任は納税者側にあり 29、企業はペナルティを回避するために、本来は対象外かもしれない費用まで過度に保守的に資産計上するインセンティブに駆られました。その結果、コンプライアンスを遵守しようとする努力そのものが、キャッシュフローへの悪影響をさらに増幅させるという悪循環に陥ったのです。

R&D税額控除(セクション41)との関係

セクション174の変更は、もう一つの重要なイノベーションインセンティブである「R&D税額控除(セクション41)」との関係も複雑化させました。セクション41の税額控除を計算する際の適格研究費(QREs)は、セクション174の費用定義を基礎としています 5。

重要な点は、セクション174の強制償却は、セクション41の税額控除を申請するか否かにかかわらず、すべての企業に課される義務であるということです 12。多くの企業は、セクション174による納税増を少しでも相殺するために、これまで以上に積極的にR&D税額控除を活用しようとしましたが、両制度の要件の違い(例えば、セクション41では外部委託費の65%しか対象にならないが、セクション174では100%が対象となるなど)が、税務計画を一層複雑なものにしました 16。

セクション6. 特別報告:セクション174改正がソフトウェアエンジニアの雇用に与えた影響

本報告書の最重要テーマとして、セクション174の強制償却ルールがソフトウェア業界の雇用に与えた影響を詳述します。この税制改正は、単なる会計ルールの変更ではなく、ソフトウェアエンジニアという人材の経済的価値を根本から揺るがし、企業の採用戦略と労働市場全体に構造的な変化をもたらしました。

国内エンジニア雇用の経済的構造変化

人件費の税務コスト化

ソフトウェア企業にとって、研究開発費の最大の構成要素は、ソフトウェアエンジニアの給与、賞与、福利厚生費といった人件費です。改正前のセクション174の下では、これらの人件費は発生と同時に全額費用として控除できたため、エンジニアの雇用は税務上、効率的な投資活動でした。

しかし、強制償却ルールの導入により、この構造は一変しました。エンジニアの給与は即時控除が不可能となり、その費用は5年間にわたって繰り延べられることになりました。これは、企業にとって、エンジニアを一人雇用するという行為そのものが、短期的に巨額の税務コストを発生させることを意味します 24。あるCEOは、「開発者にコードを書いてもらうために給与を支払うことが、まるでトラックや産業機械を購入するのと同じように扱われる。全くもって狂気の沙汰だ」と述べており、このルールが事業の実態といかにかけ離れているかを物語っています 26。企業は、事業活動から得られる利益に対してではなく、未来の成長の源泉であるエンジニアを雇用するという投資活動そのものに対して課税されるという、本末転倒の状況に陥ったのです。

採用抑制のメカニズム

エンジニアの雇用コストが税務上、劇的に上昇した結果、企業の行動は合理的な反応を示しました。すなわち、人件費の抑制です。前述の通り、キャッシュフローは悪化し、採用の経済合理性は低下しました。この状況下で、企業が取りうる選択肢は限られています。

  1. 新規採用の凍結・縮小: 将来の税負担増を避けるため、新たなエンジニアの採用を停止または大幅に縮小する。
  2. 既存従業員の解雇: 現在の税負担を直接的に軽減する最も効果的な手段として、既存のエンジニアリングチームを削減する。

このようにして、セクション174は、ソフトウェア企業の採用活動に強力なブレーキをかけ、解雇を促す直接的なインセンティブとして機能しました 32。

具体的事例とデータに基づく影響の可視化

大手テック企業の大量解雇との関連

この税制改正が雇用に与えた影響を最も象徴的に示しているのが、2023年初頭に起きた大手テクノロジー企業による大規模なレイオフの波です。Microsoft(1万人)、Googleの親会社Alphabet(1.2万人)、Meta、Amazonなど、業界を牽引する企業が相次いで数万人規模の人員削減を発表しました。

これらのレイオフのタイミングは、セクション174の変更が2022年度の税務申告で初めて現実の財務インパクトとして企業に認識された時期と完全に一致しています 23。表向きの理由として、各社は金利上昇などのマクロ経済環境の悪化や「経営の効率化」を挙げました。事実、Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは2023年を「効率化の年(Year of Efficiency)」と位置付けました。しかし、その「効率化」の最大のターゲットが、R&D費の最大項目である人件費であったことは明らかです 23。

マクロ経済要因がレイオフの背景にあったことは事実ですが、セクション174は、人員削減という経営判断に、具体的かつ強力な財務的根拠を与えた「隠れた加速要因」であったと考えられます。財務部門が、エンジニアの数に直接比例して急増する納税額に直面したとき、エンジニアの数を減らすことは、キャッシュを確保するための最も直接的で効果的な手段となったのです。セクション174は、企業の最重要資産であるはずのエンジニアを、短期的な貸借対照表上、最大の税務上の負債へと変貌させたと言えるでしょう。

中小・スタートアップ企業の苦境

大企業以上に深刻な打撃を受けたのが、財務的な体力に乏しい中小企業やスタートアップです。これらの企業にとって、予期せぬ巨額の納税義務は、事業の存続そのものを脅かす問題でした 33。ある11人規模の企業のCEOは、セクション174の施行直後からその影響を実感し、「ソフトウェア開発者の給与を経費にできなくなった」と証言しています 26。

この変更によって数万から数十万の雇用が失われたとの推計もあり、あるベンチャーキャピタリストは50万人の雇用が失われたと主張しています 26。数字の正確性はともかく、この税制が国内のイノベーションの担い手である小規模企業の成長を阻害し、多くの雇用機会を奪ったことは疑いようがありません。

新たなグローバル採用戦略:国内人材 vs. 海外人材

セクション174の改正と、その後の部分的修正は、企業のグローバルな人材採用戦略にも大きな影響を与えています。

TCJA下の複雑なトレードオフ(2022-2024年)

2022年から2024年の期間、米国外のR&D費に対する15年という極端に長い償却期間は、海外での開発活動に対する強いペナルティでした。しかし、逆説的に、一部の企業、特に「幻の利益」問題に直面するキャッシュフローの厳しいスタートアップにとっては、海外での採用が短期的な生存戦略となり得ました。国内で高給のエンジニアを雇用すれば、即座に多額の納税義務が発生し、運転資金が枯渇する恐れがあります。一方で、人件費の安い国でエンジニアを雇用すれば、たとえ税務上のペナルティ(15年償却)が課されても、納税の大部分を遠い将来に繰り延べることができ、目先のキャッシュフローを維持することが可能になります 24。このため、この期間、一部では米国の雇用が海外に流出した可能性が指摘されています。

最新の法改正がもたらす国内回帰インセンティブ

2025年からのOBBBAによる国内R&D費の即時費用計上復活は、この状況を再び一変させました。新ルール下では、国内エンジニアの雇用は税務上、完全に優遇される一方、海外エンジニアの雇用には15年償却という重い足枷が残ります 34。これは、米国内でのエンジニア採用を強力に後押しする「保護主義的な措置」であり 26、企業のグローバルな人材配置戦略の見直しを迫るものです。

ただし、これが単純な雇用の国内回帰に繋がるかは不透明です。海外の安価な労働力というメリットが、15年償却という税務上のデメリットを上回ると判断されれば、企業は引き続き海外での採用を続けるでしょう 26。この結果、今後のグローバルなR&D体制は、より戦略的な階層化が進む可能性があります。すなわち、企業の競争力の核となる、ミッションクリティカルで高度な研究開発は、税務メリットの大きい米国内に集中させ(リショアリング)、一方で、より定型的でコモディティ化したソフトウェア開発やメンテナンス業務は、人件費の安い海外拠点に配置するという分業体制です。米国の税法は今や、グローバルな技術労働力の地理的分布とスキル構成を積極的に形成する要因となっているのです。

セクション7. 総括と将来展望

セクション174を巡る一連の法改正の混乱は、米国のソフトウェア産業と税制の歴史において、重要な転換点として記憶されるでしょう。短期的な財政収入の確保を目的とした一つの条文の変更が、いかに国の基幹産業のイノベーション、投資、そして雇用に意図せざる深刻なダメージを与えうるかを、明確に示しました。この経験は、今後の政策立案と企業経営に多くの教訓を残しています。

セクション174改正が残した教訓

第一に、税制が企業の行動を左右する強力なインセンティブ設計ツールであることを再認識させました。1954年以来、R&D費の即時費用計上は、リスクを取って未来に投資する企業文化を育む上で、目に見えないながらも決定的な役割を果たしてきました。TCJAによるその廃止は、会計上の数字を操作することで短期的な税収増を図るものでしたが、結果として企業のキャッシュフローを枯渇させ、エンジニアの雇用を抑制し、イノベーションのエコシステムそのものを毀損する事態を招きました。

第二に、政策変更の影響を評価する際には、直接的な効果だけでなく、サプライチェーンや労働市場を通じて波及する間接的な効果までを考慮した、より包括的な視点が必要であることが示されました。特にソフトウェア産業のように、無形資産と人的資本が価値の源泉である分野では、会計ルール上の小さな変更が、企業の存続や国際競争力に致命的な影響を及ぼす可能性があります。

ソフトウェア企業が取るべき短期・中長期的な戦略

この激動の数年間を経て、ソフトウェア企業は、税務戦略を単なるコンプライアンス業務ではなく、事業戦略と不可分な経営の中核機能として位置づける必要に迫られています。

短期的な戦略(〜2025年)

目下の最優先課題は、2022年から2024年にかけて資産計上された米国内R&D費の未償却残高を、いかに最適に処理するかです。OBBBAによって与えられた「2025年での一括控除」「2025年と2026年の2年分割控除」「従来の償却継続」という3つの選択肢の中から、自社の将来の収益予測、繰越欠損金の状況、そしてキャッシュフロー計画に基づいて、最も有利な方法を慎重に検討・決定する必要があります 22。適格な中小企業は、2022年度まで遡及して即時費用計上を適用する選択肢のメリットと、修正申告に伴う実務コストを速やかに評価し、行動に移すべきです。

中長期的な戦略(2025年〜)

中長期的には、新たな税務環境を前提とした事業構造の再構築が求められます。

  1. R&D拠点の最適化: 国内R&D費は即時費用計上、国外R&D費は15年償却という明確な差異を踏まえ、R&D活動の地理的配置を戦略的に再評価する必要があります。税務メリット、人材確保の容易さ、人件費コストといった複数の要素を勘案し、国内と海外のR&Dポートフォリオを最適化する戦略を構築することが不可欠です 29。
  2. コンプライアンス体制の恒久化: 今後も、R&D費の定義や分類を巡る税務リスクは残ります。R&D活動の内容を詳細に文書化し、開発費用とメンテナンス費用を明確に区分する社内プロセスを恒久的に整備することで、コンプライアンスリスクを管理し、税務調査に備える必要があります 27。

今後の税制改正に関する動向予測

OBBBAによる国内R&D費の即時費用計上の復活は「恒久的」とされていますが、米国の税制が将来にわたって不変である保証はありません。巨額の財政赤字や政権交代といったマクロな環境変化は、いつでも税制改正の議論を再燃させる可能性があります。

特に、米国外R&D費に対する15年償却という懲罰的な扱いは、国際的な税制競争や、同盟国との経済関係の中で、将来的に見直しの対象となる可能性があります。企業は、こうした税制の動向を常に監視し、政策の変更に迅速に対応できる財務的・事業的な柔軟性を確保しておくことが、これまで以上に重要となります。

セクション174を巡る一連の出来事は、ソフトウェア企業にとって、税務戦略がもはや受動的なコンプライアンス機能ではなく、製品ロードマップからグローバルな採用計画に至るまで、あらゆる事業活動に影響を与える能動的かつ不可欠な要素となったことを示しています。突発的でインパクトの大きい税制変更をモデル化し、それに適応する能力こそが、今後の競争優位性を左右する重要な経営スキルとなるでしょう。

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