前回の「なぜ人手不足になるのか – 需給ギャップの解説」に引き続き、
Claudeに人手不足の雇用情勢の中で、例外的に人手が余っている業種について、質問しました。
日本の最新の求人倍率データを確認して、人手が余っている業種について調べてみます。より具体的に職種別の求人倍率データを確認します。最新の厚生労働省のデータを確認します。より詳細な職種別データを確認するため、最新の厚生労働省の詳細統計を探します。入手した情報に基づいて、日本の求人倍率が1未満で人手が余っている業種について説明いたします。
現在の日本で人手が余っている業種(求人倍率1未満)
最新の厚生労働省データ(2025年8月29日発表、2025年7月分)に基づくと、主に以下の職種で人手が余る状況になっています:
1. 事務職関連
事務従事者の有効求人倍率は0.42倍(2024年9月分データ)と低く、一般事務職や営業事務職などで求職者数が求人数を大きく上回っています。
具体的には、2023年12月のデータでは一般事務従事者(事務職)が0.90倍となっており、求職者の方が多く、採用しやすい状況です。
なぜ人手が余る状態になるのか – 理由の分析
事務職で人手が余る主な理由:
業務のデジタル化・自動化の進展
- AI、RPA(Robotic Process Automation)の導入により、定型的な事務作業が自動化されている
- 電子化の進展で書類処理業務が削減されている
職種の人気の高さ
- 事務職は働きやすいイメージがあり、特に女性に人気が高い
- 残業が少ない、体力的負担が軽いなどの理由で応募者が集中
必要スキルのハードルの低さ
- 専門的な資格や技能を必要としない場合が多い
- 未経験者でも参入しやすいため、求職者が多い
企業の効率化による求人減少
- 業務プロセスの見直しにより、必要人員が削減されている
- 一人当たりの業務効率向上により、採用需要が減少
その他の人手余り業種
クリエイター職(イラストレーターやデザイナー、写真・映像撮影者など)も事務職よりもさらに低い求人倍率となっています。これは、フリーランスとして採用するケースが多いことや、正社員採用であってもハローワークや求人サービスを経由せずに採用されることが多いためとされています。
ただし、全体としては2025年7月の有効求人倍率は1.22倍で、大多数の業種では人手不足が続いている状況です。人手が余っている業種は限定的であり、日本全体では依然として労働力不足が主要な課題となっています。
印刷業や軽作業や管理職などの状況
印刷業、軽作業、管理職の求人状況について詳しく調べてみます。印刷業、軽作業(物流関連)、管理職の求人状況について詳しく分析いたします。
1. 印刷業の状況
印刷業は人手不足の状況
印刷産業の製品出荷額は2022年の時点で5兆462億3,300万円。2017年以来の5兆円台に達したものの、7兆4251億8,300万円だった2003年から減少傾向が続いている状況です。
印刷業で人手不足になる理由:
市場規模の縮小
- デジタル化に伴う紙の印刷需要の減少は避けられません
- 通販カタログは通販Webサイト、漫画や小説などの冊子は電子書籍というように、消費者のニーズがデジタル媒体へと移っている
技術者の高齢化
- 印刷業界の中核を担ってきたオペレーターたちの高齢化が進む今、若年層への技術継承が大きな課題となっている
若手人材の確保難
- 採用課題を解消するには、特殊スキルを要するオフセット印刷機の利用を見直し、デジタル印刷機への入れ替えを検討する必要がある
2. 軽作業(物流関連)の状況
軽作業・物流業界は深刻な人手不足
2024年1月の運送業における有効求人倍率は「3.39倍」でした。産業全体での有効求人倍率は1.21倍なので、運送業は全体の平均に比べ、採用の難易度が約2.18倍ということになります。
職種別の求人倍率(物流関連):
物流倉庫に関連する職種の有効求人倍率(令和2年度)は以下のようになりました:
- 倉庫作業員:0.58倍
- ピッキング作業員:1.08倍
- 積卸作業員:4.42倍
- 梱包作業員:1.44倍
注目すべき点:倉庫作業員は0.58倍と求人倍率が1未満で人手が余る状況ですが、これは力仕事の少ない軽作業に限定されており、特に物流業界の求人が増えているように見受けられます。
軽作業で人手不足/余りが生じる理由:
業務内容による差
- 軽作業(倉庫内軽作業):人手余り傾向
- 重作業(積卸作業):深刻な人手不足
EC需要の拡大
- EC(電子商取引)市場は、2018年には全体で18.0兆円規模、物販系分野で9.3兆円規模まで拡大しており、EC市場規模の拡大に伴い、宅配便の取扱件数は5年間で約6.7億個(+18%)増加している
3. 管理職の状況
管理職は人手が余る状況(求人倍率1未満)
「管理的職業従事者」(0.94倍)といった競争率の高い職種は、IT化による需要減もあり、特別なスキルがなければ厳しい状況です。
また、管理的職業の有効求人倍率は0.73倍という過去のデータも示されています。
管理職で人手が余る理由:
組織のフラット化
- 企業の効率化により管理層の削減が進んでいる
- ITツールの導入により管理業務の自動化が進展
求職者の多さ
- 中高年層の転職希望者が管理職を希望する傾向
- 専門性を持たない一般的な管理経験者が多い
求められるスキルの高度化
- 単純な管理業務からデジタル化対応やDX推進能力が求められる
- 特別なスキルがない管理職候補者は採用されにくい
まとめ
- 印刷業:市場縮小とデジタル化で人手不足
- 軽作業:業務内容により異なる(軽作業は人手余り、重作業は人手不足)
- 管理職:組織のフラット化とスキル要求の高度化で人手余り(求人倍率1未満)
参考資料
今回の回答で参照したURLの一覧をまとめます。
参照URL一覧
日本の求人倍率全般・職種別データ
- https://topics.type.jp/womantype-all/market-trends/
- https://saiyo.employment.en-japan.com/blog/jobs-to-applicants-ratio-by-job-type
- https://www.management.paddle-japan.com/recruiting-1/
- https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57261.html
- https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/
- https://www.baitoru.com/solution/column/recruitment-trends-full-time/
- https://www.hwiroha.com/syokugyoubetsu_yuukou_kyuujinn_bairitsu.html
- https://crexgroup.com/ja/recruit/strategy/job-opening-ratio-trends-outlook/
- https://service.gakujo.ne.jp/jinji-library/saiyo/00042/
- https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/caripedia/77/
厚生労働省公式データ
- https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59035.html
- https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39833.html
- https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_52677.html
- https://jsite.mhlw.go.jp/kumamoto-roudoukyoku/content/contents/001203893.pdf
印刷業界関連
- https://hataractive.jp/industry/5/24/
- https://jp.ext.hp.com/techdevice/printing/40indg_sc02/
- https://jp.ext.hp.com/techdevice/printing/lfp10_03/
- https://www.jfpi.or.jp/topics_detail6/id=4674
- https://unistyleinc.com/techniques/1754
- https://j.futurefinder.net/article/business-world-corporate-analysis/research-insatsu/
- https://recruit.seikoo-print.com/blog/futureofprint
- https://www.s-agent.jp/column/14516
物流・軽作業関連
- https://www.careerlinkfactory.co.jp/blog/shortage-of-skilled-labor/
- https://edenred.jp/article/hr-recruiting/247/
- https://doraducts.jp/column/017/
- https://www.talent-clip.jp/media/causes-of-labor-shortages-inwarehouses-and-countermeasures-what-are-the-point-for-strengthening-recruitment
- https://www.wataryu.co.jp/column/kadai2/
- https://thanks-gift.net/column/engagement/logistics-labor-shortage/
- https://rpa-technologies.com/insights/logistics-hr-shortage/
- https://www.zenrin-datacom.net/solution/blog/lack-of-drivers
その他統計・研究機関
- https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/shuyo/0210.html
- https://www.e-stat.go.jp/stat-search?page=1&query=%E6%9C%89%E5%8A%B9%E6%B1%82%E4%BA%BA%E5%80%8D%E7%8E%87&layout=dataset
- https://hitokuru.atimes.co.jp/list/274
- https://www.n-lights.com/nlplus/yukokyujinbairitu-new/
これらのURLから、最新の求人倍率データ、業界動向、人手不足・人手余りの原因分析などの情報を収集し、回答に反映させました。
IT化による雇用縮小
以前のNHKスペシャルの報道では、一般事務職と印刷業は雇用が縮小して人で余りの状況にあるが、それ以外の職種では全て人手不足の状況だと、報道していました。
今回、Claudeに質問してみた限りでは、やはり一般事務職はIT化の影響で雇用が急減しているようですが、印刷業は市場縮小にありながら、採用難と既存労働者の定年退職により人手不足になっているようです。
また、倉庫などの軽作業も自動化の為か雇用が減少して人で余りの状況のようです。
少子高齢化で若い世代が急速に減少しているので、管理職の雇用は減少するだろうと思い、質問してみましたが案の定で管理職の雇用は減少しています。
管理職の雇用減少の原因は、少子高齢化だけではなく、IT化によるマネジメントの効率化の影響もあるようです。
私は、若い頃から人口ピラミッドの変移を見ていて、ピラミッド型組織は維持できなくなるだろうと予想していましたから、現在の管理職の雇用縮減は予想通りの展開に見えます。
おそらく、現在のピラミッド型組織を前提にした、チームマネジメントのやり方も通用しなくなるでしょう。
サーバントリーダーシップなどが一部で話題になっていたりしますが、次世代のマネジメント手法の採用は避けられない時代が近づいているように思えます。