Windows Server のライセンスをわかりやすく解説

ライセンスとコスト
Windows Server のライセンス体系は意外に複雑で分かりにくい。
Microsoftの公式ドキュメントを見てもイマイチ良く分からない。
理解するまで繰り返し読み込まないといけない。
一般のブログ記事などで、分かりやすく解説している記事はたくさんあるのだが、それらを読んでも分かりにくいのが現実だ。
この「わかりにくさ」は Window Server を使用している人間にとっても困ることだ。
ユーザーに説明するときいちいち口頭で何度も説明することになる。
そこで「一度読んだら理解できる」解説記事を書くことにした。
解説記事は短い一つの記事で解説することは不可能で、どうしても複数記事で長い説明が必要になる。
Windows Server のライセンス体系は記事一つで説明出来るような代物ではない。
その点は先にご了承いただきたい。
その代わり他のブログの解説記事と違い、「一度読んだら理解できる」ように努力する。
文章は、いつもの通りできるだけ単純な文章になるように「常体」で書く。
「敬体」では無駄に文章が長くなってしまうから、新聞記事のように「常体」で文章が短くなるように心がける。
(それでも長い説明になるが)
 
CPUの高性能化によりWindows Serverのライセンス体系は、Windows 2016から変更され、マルチコアプロセッサに対応したライセンス体系になっている。
よって、Windows Server 2012R2 以前のバージョンとはライセンス体系が異なる。
逆にWindows Server 2016 以降のバージョンは全て同じライセンス体系になっている。
具体的には、Windows Server 2016, 2019, 2022 は全て同じライセンス体系である。
 
Microsoftの公式ドキュメントも、日本語では Windows Server 2016 で解説されていて、最新バージョンのドキュメントに更新されていない。(ドキュメントは複数ある)
この場合は、 Windows Server 2016 から特に変更されていない事を意味するので、そのまま Windows Server 2016 のドキュメントを読めば良い。
最新版のドキュメントが存在する場合は、そちらを読めば良い。
 
現時点で最も詳しく解説されている
「コマーシャル ライセンス リファレンス ガイド Windows Server 2016」は、
後のバージョンの2019版と2022版に更新されていない。
 
概要を解説した「Windows Server 2019のライセンス」はタイトルの通り2019版がある。
2022版は今のところ無い。後で紹介しているが、別の文書で公開されている。
 
しかし、ライセンス体系は Windows Server 2016 から変わっていないので、現時点で最新版を読む必要もないと思う。
 
公式ドキュメントは以下のサイトからPDFで配布されている。
 
 
ページの末尾の「関連リソース」欄にある
「Windows Server 2019 ライセンス データシート (PDF、0.79 MB)」
 
「Windows Server ライセンス ガイド (PDF、2.96 MB)」
 
前者は概要に過ぎず、説明不足なので、後者を見ないと正確なライセンス規定が分からないだろう。
 

Windows Server 2022についての追記事項

Windows Server 2022のライセンス体系は、以前の2019や2016と同じである。

だから2016や2019のライセンスの資料は2022でも、通用する。

だから、これまでと変わらず公開されているのだろう。

 

Windows Server 全体の資料は、以下の公式サイトに纏められている。

Windows Server に関するドキュメント

 

「Windows Server 2019のライセンス」の2022版は、これを更新する形では公開されておらず、以下のように「2022の新機能」の差分部分だけ解説している。

 

Windows Server 2022 の新機能

 

また、Windows Server 2022の各エディションの違いは、以下の公式サイトで比較している。

 

Windows Server 2022 の Standard、Datacenter、Datacenter: Azure Edition の各エディションの比較

 

2022からDatacenter: Azure Edition というのが提供されている。クラウドのAzureと連携する新エディションになるが、単体ではDatacenterエディションと変わりないようだ。

 

また、上記資料にはEssentials Edition の解説が無いが、以下の公式ページで解説している。

 

windows server 2022 essentials

 

Windows Server 2022 Essentials Edition はOEMライセンスのみの提供となり、従来のようにリテール・ライセンスでの提供は行われなくなる。

Essentials Editionが消滅したわけではない。

きちんと販売されている。

 

この記事の読み方

この解説記事は、項目事に別のページに分割して記事にする。
このページから、それら全てのページへのリンクを張る。
最初はリンクが登場するごとに、リンク先の記事を順番に読んで貰うことになる。
この方が後で、必要な記事だけを読み直したい時、そこだけ読めば良いので便利だと思う。
 
では、解説を開始する。
 

Windows Server の種類(エディション)

Windows Server には三つの種類がある。
種類はエディション(Edition)と呼ぶ。
エディションは以下のものがある。
 
Datacenter(データセンター)エディション…..大規模サーバー用(仮想環境無制限)
 
Standard(スタンダード)エディション…..中小規模サーバー用(仮想環境制限有り)
 
Essentials(エッセンシャル)エディション…..単体運用サーバー用(仮想環境使用不可)
 
エディションの詳細は以下の記事で解説する。
 
 
 

Windows Server のライセンス計算に必要な概念と用語

ライセンス体系の解説を始める前に、ライセンス計算をする為に必要な言葉の定義を理解して貰う必要がある。
これらの言葉を把握していないとライセンス数を数える事もできない。
 
以下のリンク先の記事で解説する。
 
 
この用語解説を片手に、公式ドキュメントを読むと分かりやすいと思う。
 

Windows Server のサーバーライセンス体系

Windows Server は、エディションによってサーバー側とクライアント側で別々にライセンスを購入しなければならない。
ここではサーバー側のライセンス体系について以下のリンク先の記事で解説する。
 
 

Windows Server の仮想環境のライセンス数

サーバーライセンス体系を踏まえて、エディションごとの仮想環境の利用条件について以下のリンク先の記事で解説する。
 
 

Windows Server のコンテナのライセンス数

サーバーライセンス体系を踏まえて、エディションごとのコンテナの利用条件について以下のリンク先の記事で解説する。
簡単にコンテナ(Docker)についての解説もしている。
 
 

Windows Server クライアントのライセンス

クライアント側のライセンスについてリンク先の記事で解説する。
 
 
 

Windows Server ライセンスの価格

ライセンス体系を踏まえて、サーバーとクライアントのライセンス価格の目安について解説している。
 
 

Windows Server の購入方法とライセンスの種類

Windows Server 2022 の販売ライセンス形態の種類の解説と、Windows Server とその関連製品を紹介してします。
Windows Server 2022 の購入の仕方が分からない人にはお勧めです。
サーバー製品と、パックアップ製品など周辺製品なども、合わせて紹介しております。
 
 
 
 

解説の終わりに

AWS, Azure などクラウド環境の普及により、オンプレミスでサーバーを立てる組織は少なくなっているかも知れないが、個人情報を扱う薬局など医療機関や、警察など機密情報を扱う組織、特殊な技術の機密情報を持つ企業など、どうしてもクラウド環境にデータを預けられない組織は存在する。
 
政府の経済安全保障政策によりサプライチェーンの安全保障も重要になってきている。
年金情報処理の下請けなどが中国ロシア等へ外注するのは、企業にとっては自殺行為になる。
安易に海外サーバーに情報を預けられなくなった。
 
機密性の高い情報を扱う組織には、Microsoftの高度なセキュリティ技術に守られ、且つLinuxなどに比べてシステム・インフラの管理が容易な Windows Server は必須のサーバーOSである。
 
Windows Server は大規模から零細規模まで、広い範囲で使用されるため、そのライセンス体系は非常に複雑な物にならざる得ない。
理解するのも容易でない。
かと言って、知らないままテキトーに導入できるものでもない。
 
その複雑なライセンス体系について、この記事で手早く理解し安全に導入できれば、幸いである。
 

2022/09/02追記>マイクロソフトがライセンス規約更新を発表

(2023/05/14 2022についての公式発表が固まってきたので、この部分の記事は、あとで修正します)
2022/09/02に、マイクロソフトが Windows や SQL Server などのライセンス規約の変更を発表した。
内容としては、
 
Windows Server, SQL Server、Microsoft 365 Apps などの受託開発社がライセンスを取得した製品を、発注元ホストで受託社が開発したシステムと共に使用可能になる。
 
現在「物理コア」の個数を基準にしているコアライセンスに、「仮想コア」の個数を基準にしたライセンスを導入する。
 
Microsoft 365 のユーザーは、ローカルWindows10,11を有していれば、仮想化Windowsも利用可能にする。
 
クラウド ソリューション プロバイダー (CSP) プログラムを強化して、1 年または 3 年のサブスクリプションを顧客に販売できるようにする。
 
CSP-Hoster により、ユーザーへ販売するシステムやアプリなどをWindows Server, SQL Server、Microsoft 365 Apps などと共に纏めて販売できるようにする。
 
新ライセンス体系は10月1日より開始。
 
Microsoftの発表は以下の通り。
 
 
詳細はまだ発表されていないが、発表され次第、この記事で解説していくつもりです。
 
 
 
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