Windows365サブスクリプションのコスパを検証する

 

先日、Windows365の特徴とメリットとデメリットについての記事を書いた。
 
 
2021年8月2日の日本時間22時にWindows365が正式にリリースされた。
 
 
Windows365のサブスクリプション月額も公表された。
 
Windows365 Business Cloud PC と Windows365 Enterprise Cloud PC の二つだ。
Windows365 Business は中小企業向け、Windows365 Enterprise は大企業向けと説明されている。
具体的には Business と Enterprise は製品パッケージと価格設定が違う。
Business は既存のWindows10 Proのライセンスを持っていると16%割引価格になる。
Enterprise はMicrosoft.365やAzureのサブスクリプションと併用する事が前提になっている。価格は Business の16%割引価格と同じになっている。
 
 
仮想CPU(vCPU)の数やRAMとストレージの容量をいくつか選択することができる。
以下のサイトで様々な構成のクラウドPCの月額を確認する事ができる。
 
 
 
 
 
Windows365 Business のサブスクリプション月額は、使用するユーザー個人が既にWindows10 Pro のライセンスを保有している場合、プロダクトキーを登録する事で、16%割引価格になる。
この割引価格の事を「Windowsハイブリッド特典」と呼ぶ。
最低でも月一度は、そのプロダクトキーのWindowsでWindows365にアクセスする必要がある。
 
Enterprise では、標準価格が Business の「Windowsハイブリッド特典」と同じ価格になる。
 
 
Windows365の概要については既にIT系メディアから報道されているので、以下の記事を読むと良いと思う。
 
 
 
 
私は、もう少し実用的なテーマで記事を書きたいと思う。
 
 
気になるのはWindows365の価格だ。
 
仮に会社のプロジェクトでWindows365を導入すると、どれぐらいコストがかかるのか。
それは通常のノートPCを導入する場合と比べて、どのぐらい差があるのか。
 
その点を検証してみる。
 
「想定される利用条件」は以下とする。
 
プロジェクト開始ごとに社内と外注先の人材を集め、プロジェクトメンバーを編成する。
プロジェクトメンバーはほとんど在宅勤務でリモートワークとする。
プロジェクトメンバーごとに業務用デスクトップPCを用意しメンバーの自宅に設置する必要がある。
このデスクトップPCにどれだけコストがかかるか検証してみる。
 
DBMSなど共用データはデスクトップPCではなく、別途サーバーに設置する。
デスクトップPCで必要とするストレージ容量は作業用のみとする。
 
以上のデスクトップPCを、クラウドPCを使用するか、物理的ノートPCを使用するかを、ざっくりと比較してみたい。
 

Windows365の価格帯

 
vCPU数・RAM容量・ストレージ容量は多数の組み合わせがあるので、全部掲載できない。
よく使われるであろう組み合わせだけ見繕って以下に掲載する。
「特典」とは「Windowsハイブリッド特典」の事である。
仮想
CPU数
 
RAM
容量
 
ストレージ
容量
 
月額
-特典有り
 
月額
-特典無し
 
年額
-特典有り
 
年額
-特典無し
 
1vCPU 2GB 64GB ¥2,720 ¥3,260 ¥32,640 ¥39,120
2vCPU 4GB 128GB ¥4,210 ¥4,760 ¥50,520 ¥57,120
2vCPU 8GB 128GB ¥5,570 ¥6,120 ¥66,840 ¥73,440
2vCPU 8GB 256GB ¥6,790 ¥7,340 ¥81,480 ¥88,080
4vCPU 16GB 256GB ¥10,190 ¥10,740 ¥122,280 ¥128,880
4vCPU 16GB 512GB ¥13,730 ¥14,270 ¥164,760 ¥171,240
8vCPU 32GB 512GB ¥21,470 ¥22,010 ¥257,640 ¥264,120
 
 

2021年8月時点のノートPCの標準価格

 
次にクラウドPCとの比較対象に、ノートPCの標準価格を掲載する。
割引価格などは除外している。
 
製品名

 

CPU

 

RAM
容量
 
ストレージ
容量
 
標準価格

 

Lenovo V15 Gen 2 AMD Ryzen 3 5300U 8GB 256GB ¥108,900
ThinkBook 14 Gen 2 AMD Ryzen 5 4500U 8GB 256GB ¥122,100
HP ProBook 450 G8 Core™ i5-1135G7 8GB 256GB ¥186,780
HP ProBook 450 G8 Core™ i5-1135G7 16GB 256GB ¥208,780
MousePro-NB520H Core i5-10210U 8GB 256GB ¥104,280
mouse X5-R7-URDS AMD Ryzen 7 4800H 16GB 512GB ¥131,780
 
 

主要VPNサービス価格

VPN会社
 
円価格(1ヶ月) 長期支払い
月額
長期支払期間
 
ExpressVPN ¥1,424 ¥1,098 半年
Surfshark ¥1,418 ¥711 半年
NordVPN ¥1,256 ¥347 一年
 
VPNサービスは半年や一年・二年といった長期契約にすると月額を割安にできる。
 
クラウドPCを使用する事無く、物理的ノートPCを購入して、メンバーの自宅に設置する場合、VPNによるネットワーク保護は不可欠である。
 
また、個別ノートPCが社内ネットワーク環境へアクセスする場合はアクセス制御ソフトウェアが必要になる。
こちらは個別見積もりが多いので一覧表にできない。
 
 
 

8GB・256GBでの比較

 
一般のノートPCのスペックは、RAMが8GBで、ストレージが256GBの物が標準的で、このスペックが量産されているが故にコスパが良い。
システム開発など行うITエンジニアでなければ、このぐらいのPCで事足りる場合が多いと思う。
このスペックのノートPCを購入して、VPN契約をして、更にアクセス制御ソフトウェアを導入する。
 
物理的ノートPCの場合、13万円から19万円ほどになる。
VPNが月額1000円ぐらいとして、年間12000円とする。
これだけで、メンバー一人あたり、年間14万円から20万円のコストになる。
これにアクセス制御ソフトウェアのコストが上乗せになる。
 
クラウドPCの場合、このクラスの年間サブスクリプション価格は、
特典有りで「¥81,480」、特典無しで「¥88,080」になる。
 
二年なら特典有りで「¥162,960」、特典無しで「¥176,160」に、
三年なら特典有りで「¥244,440」、特典無しで「¥264,240」になる。
 
 

16GB・512GBでの比較

 
システム開発など行うITエンジニアの場合は、もっと高スペックのPCが必要になる。
 
「mouse X5-R7-URDS」で「¥131,780」、VPN年間コスト加算で「¥143,780」となる。
これにアクセス制御ソフトウェアのコストが上乗せになる。
 
クラウドPCの場合、このクラスの年間サブスクリプション価格は、
特典有りで「¥164,760」、特典無しで「¥171,240」になる。
 
二年なら特典有りで「¥329,520」、特典無しで「¥342,480」に、
三年なら特典有りで「¥494,280」、特典無しで「¥513,720」になる。
 
 

一年程度ならクラウドPCが良い

 
結論として、「契約期間が一年以内ならクラウドPCが良い」と言える。
一年以上の長期契約をするなら、物理的ノートPCを購入して、メンバーの自宅に設置した方が良い。
 
一年程度ならセキュリティ対策の堅牢さなども勘案してクラウドPCを導入する価値はあると思う。
 
短期的なサブプロジェクトの場合、一年以内の短期計画というのは、そう珍しいものではない。
短期のサブプロジェクトごとに外注先の人員を集めて、プロジェクトチームを編成して、メンバーの作業用PCを用意するなら、Windows365 は充分にコスト的に見合うと思う。
 
他にも、物理的ノートPCを調達したり、ネットワークセキュリティを整備したり、使用し終わったノートPCの在庫管理をしたり、と様々なコストがかかることも考えると、クラウドPCの導入は充分に検討の余地はあると思う。
 
 
 
取り急ぎ、簡単な報告をしました。
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